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 ――――長い長い道のりだった。
 
 仲間と共にここまで来た達成感が込み上げてくる。
 
 背の高い城壁を強引に乗り越えた。脆い石の壁は手でボロボロと崩れる。それを払いながら、俺達は前を見据える。やっと辿り着いたんだ。
 遠目で見たときはさほど感じなかったが、いざ目の前にしてみると違和感がある。白く、澄んだ色をしていた城はそこにはない。暗い霧に覆われた黒い城が目の前にあった。
 
 この城には国を闇のどん底におとしいれた王がいる。悪魔のような王が――。
 俺は城を前にし、旅のことを思い出す。
 
 ―――辛い道のりだった。
 
 ここまで来る前に何度か死にそうになった。
 実際、仲間を何人も失っている。皆、王の手下達に寝込みを襲われたのだ。時には内臓部分だけがなくなってる死体があった。
 
 得などほぼ無に等しい。
 
 だが国の為――家族の為、俺は闘う。
 
 ―――クソ!!!
 ―――あいつの所為で・・・・あいつの所為で・・・・!!!
 
 全てはあの憎き王の所為。全ての元凶なのだ。
 
 俺はやってみせる――。
 たとえ俺が滅びようとも――。
 いや、俺は死なない――死なせない!!
 俺はやり遂げてみせる!!!
 
 仲間と共に城の中へと入る。RPGによく出てきそうな内装だ。大理石の床で高そうな絨毯がひかれている。その両端には銀の甲冑が乱雑の置かれ、絵画は朱に染まっている。もちろん、警備兵はいなかった。
 
 ―――それは王が殺してしまったから。
 
 王は可笑しい。言わずともそんなことは分かる内装。
 
 靴が反響する音も気にせず、俺達は廊下を走る。
 
 純白だった絨毯は赤黒い色に変わっていた。赤い水溜りが何個もできている。前来た時と随分様子が変っていた。
 
 それだけでも、普通は恐怖するだろう。が、さらに異質すぎる光景が、廊下を走る俺達の目に飛び込んでくる。
 
 銀の甲冑の像があったところに、本物の死体が首に刺さった剣でぶら下がっているのだ。
 
 まるで死の祭典――。
 
 服装からするとこの城の兵士だったらしい。目をむき、口からは紫の舌が垂れ、耳からは異臭を漂わせる液体が流れていた。本などで描写ではない腐乱死体だ。目など、片方がかろうじて繋がっているという状態だ。ぶら下がっていると言った方が適切だろう。とてもじゃないけど見てられない。
 
 数々の難関を突破してきた俺達の中でも、悲鳴を上げているヤツもいる。
 王の行動を、ただ悲鳴を上げながら見ることしかできない国民のように――。
 
 ―――狂ってる。
 
 どうして、王はこれほど狂ってしまったのか。
 前まで何も悪いことはしていなかった筈だ――。
 
 クスリでもやったのか―――俺には分からない。
 否―――理解したくもない。考えただけで自分が壊れていきそうだ。
 
 ―――分からなくていい、俺が殺せばいいことなんだから。
 
 俺が世界を救ってみせる――。
 父さんの、母さんの、家族の―――仇。
 家族を殺した男が生きているなんて許せない・・・。
 俺は国の救世主になるんだ!!
 
 コツコツと小気味いい音をたてながら、俺達は螺旋階段を駆け上がる。
 ぐるぐると回る階段は、人生のように長い。終わりがないようだ。
 
 ここでも途中途中で兵士や――王を倒しに来たのだろう――戦士などの死体が転がっていた。中には女・子供の首や腕らしきものもある。
 階段に転がっているものを見ないよう、出口のことだけを考えながら上へ上へと進む。
 
 カツン――――。
 
 城の頂上にたどり着く。人生にもやがて終りがくる――そんなように。長四角の部屋も廊下と同じような色調である。大理石に絨毯、傾いたシャンデリアが部屋を照らす。
 
 部屋の奥には、赤と金で装飾された玉座に座った――
 
 ―――王がいた。
 
 王冠をかぶり、白髪の髪は後ろで三つ編みにし、無精髭を生やしている。その目は、悲しみとやるせなさが入り混じった色を浮かべていた。
 
 まるで自分は何もできないという様に―――。
 
 俺はその顔を見て、怒りがふつふつと沸いてくる。
 
 ―――この男が俺の家族を殺し男・・・・殺してやる・・・・。
 
 
 
 
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