文とか詩とかー
頑張って更新頑張るお!
「これを見ても分からない?」
・・・・・!!
俺は驚きで声が出なかった。
姫の小さな背中には、彫刻刀で掘られたような跡がある。鋭い傷痕は汚い文字に見えた。
「どう? "お兄ちゃん"?」
姫の背中には―――
"お前の首は俺のモノだ!!! 我が妹に愛をこめて、お前の兄貴より!!!"
・・・・・。
「あなた―――お兄ちゃんの書いた字だよね? これ」
また俺の方に向き直り、姫は尋ねた。
確かに俺の書く字と似ている。が、そんなことはあるのだろうか?
―――違う。俺はこんな事をする奴じゃない。
頭を抱える俺を見て、姫は鉄格子を強く握り必死な形相をする。
「忘れたの? 思い出してよ!! 自分がやったことを!!!!」
―――何を言っているんだ。
「関係ないふりしないでよ!!! お兄ちゃんは私たちの家族を殺して、その罪を負えないから王の所為にしようとしたんだよ!!!」
―――俺はナニも・・・・。
「目を背けないで!! 私は殺されなかったけど、私の首はお兄ちゃんのモノになっている。あなたが全部やったことなのよ!!!」
―――そンなこトハやっテ・・・・
「王に罪を着せるために、城に行き、そして城にいた兵士たりを残虐に殺していった。そして上手く王の罪をなすりつけ、自分は正義の使者として王を退治した。
周りの人々から信頼され、誰も大量虐殺したのはあなたじゃないと思うものね」
必死に――必死に訴える。
「そこに転がっている仲間たちも偽り、全てあなたが仕組んだこと。だから、止めに入った仲間を斬ることができた。名前を覚えてなかったのもそう。利用した人の名前なんていちいち覚えないもの」
―――・・・・。
姫は相手の言葉を待たず話を続ける。
「そう、全てはあなたの――自分の罪を逃れるために―――――」
―――・・・・・・・。
「私には到底できない真似だわ・・・」
・・・・ク・・・く・・・・。
「・・・?」
・・・クくくククくクくくクク・・・ハハはははハハハはハハハははハハハはハハはハハハはハはハハハハハははハハはハハはハはは!!!!!!!!!!!!!!!
機械のような音で俺は笑った。
「・・・・ッッ!?」
姫は悪魔でも見たような顔をした。
けケけケ・・・・ソウ、すベて俺ガヤったンダ・・・・俺ガぜンブ殺ッたンだよ・・・・。カゾくを殺シて、血見たラ何か楽しクなっテきちマって・・・。
タノしいなァ!!! ・・・ヒトを殺スのは・・・・!!!!!!
「・・・今ならまだ間に合うわ!! 一応あなたは私のお兄ちゃんなのよ!! ここで心を入れ替えてやり直して!!
確かに何人も殺したのは重い罪だけれど、それを背負っていくのは辛いかもそれないけど、お兄ちゃんはまだ生きる・・・生きてるんだったらまだやり直せるよ!!元の優しいお兄ちゃんにもど・・・ガァァァァァアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
姫――否、俺のモノは赤い液体を首から滴らせながら絶叫する。
中途半端に斬られた首と、口から鮮血がほとばしった。赤い――赤い花火が噴き上がる。
―――楽シイ・・・・楽シイ!!!!
口の端はどんどん上がり続ける。皮膚が裂け、血が流れ始めても俺は笑いを止めない。
―――楽しスぎる!!!!!!!!
「何・・で・・ガハッ・・・・お兄・・・ちゃん・・・ゲホッ・・・殺さ・・ないで・・・よ・・・」
みすぼらしい格好をした少女はよろめき、檻の壁にぶつかる。そのまま虚空を見つめながら、壁にそって崩れおちっていった。
一時の命の花火が終わったかのごとく――。
―――死ンダ。『殺さないで』と言いナガら・・・・。
俺は右手に持った剣をくるりと回し、妹の血をおとす。
―――俺のモノは死ンダ。俺の手によッテ―――。
クくククくくくク・・・・・まァありガトよ!! お前のオカげで本当ノ俺が呼び戻セたンダからな・・・。
俺は意識のない骸に向かって言った。が、その目を妹を見てはいない。
妹の――血を見ていた。
―――さァテ・・・・お節介ナ女は消しタシ・・・次は誰ヲ壊しテ、殺そッカなァ・・・・。
手についた妹の返り血を舐める。これがまた格別に美味い。
そして“殺す”ことについて考える。
―――まァ・・・どうデもイイ。殺せレばイイことダ。
カツンカツン、と音を鳴らしながら階段を降りる。
共に今日まで闘ってきた偽りの仲間、無罪の王、そして兄のことを想っていた妹が俺を見送ってくれた。
くくク・・・けケケけけ・・・ははハはハハハははは!!!!
高らかに、偽りの救世主は笑い続ける。
その口元に歪んだ笑みを浮かべながら――――。
Fin.
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