文とか詩とかー
頑張って更新頑張るお!
―prologue―
暗闇に包まれた工場。
ぞんざいに作られたのだろうか、天井から月光が降り注いでいた。
照らされる、すすけたコンクリートの地面。
そこに――僕はいた。
――ギ、ギギ。
その中でうごめく"カゲ"。
噂には聞いていたが、本当に"アレ"がいたのか――?
その"カゲ"に歩み寄る。
――カツン、カツン…。
怖いもの見たさでここに来たが…やはりいたのか。
ゆっくりと靴を走らせる。
近付く"カゲ"。それがぎこちなく振り返る。
――ニン、ゲン…?
悲鳴が上がる。
聞いたことのあるような声だ。これは誰の声だ?
――ニンゲン…ニンゲンのニオイがする…。
地を這うようなねっとりとした声が、工場内に響き渡る。そして、虚無の光を宿した白い瞳が僕を捕らえた。
――や、やばい…!
僕は逃げ出した。
いや、逃げ出そうとしたんだ!
足が動かない。
それどころか腕や手も。
なんだこれは。
体どころか眼球さえ動かせない。
無防備な僕にソイツはゆっくりと近付いてきた。
――やっとニンゲンが…ククク。
僕の目の前には大きな"カゲ"。もう工場なんて見えやしない。ソイツしか見えない。
――これでオワリだ。
大きく口が開かれた。
人間習得。
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